通訳訓練奮闘記 ①
4月、通訳コースに上がりたてだった頃のこと。
どんなに辛くとも、どんなに他のクラスメイトが優秀でも、 絶対にやる気だけは誰にも負けるものかと、 先生の目力にびびりまくりながらも一番前の席を定位置に決めた私。 隣には翻訳歴十数年のベテランKさんが座り、私の席は壁際。 完全に逃げ場を失くしてのスタートでした。 でも自分が好きでここに来てるんだから、 先生から見えない所に座るなんてもったいない。 自分が選んだ道なんだから、 吸収できるものはとことん吸収してやろうじゃないかと、 意気込んでいたわけです。 でも、いつも逃げ出したいって気持ちはどこかにありましたね(笑) 一番逃げ出したくなったのは、授業が始まってから初めて、 「ペアでお互いに訳してみましょう」と言われた時のこと。 “英語を世界の共通語にしようという動きが、世界中で見られています。” 課題箇所はこの一文でした。 日本語の意味は分かっている。 使い慣れた英語でこれを言うだけじゃないか。 そう思ってはみるものの、全く言葉が出てこない。 「英語ができるだけでは通訳はできない」とはこういうことかと、 その時妙に納得したけれどそんな場合ではありません。 当然私のペアは隣に座っていたKさんでした。 相手がベテランさんということもあって、更に私はパニック状態。 あまり待たせては時間がもったいないので、 彼女に先にやってもらうことにしました。 お手本を聞かせてもらってからでもいいかな、なんて甘いこと考えて。 でも彼女の訳を聞いた後で、先にやってもらったことを心底後悔しました。 彼女の口から出てきた訳は、 その時のパニック状態の私には想像もできなかったような、 それはそれは素敵な訳だったからです。 そんな彼女の訳の後にたどたどしい訳を出すことの惨めさったらありません。 しかも大事な部分を訳し忘れてやり直しまでしたし。 未だに鮮明に覚えている程、とにかくショッキングな出来事でした。 自分の実力不足を実感させられたのは勿論悔しかったのですが、 ここまで実力が釣り合わないと、 Kさんの足をひっぱりかねないと感じたからです。 勿論相手は形は違えど十数年プロとして仕事をしてきた人ですから、 同じレベルになれるなんてことは思いませんでした。 でもせめて、足手まといにはなりたくなかった。 その時の悔しさと、Kさんが隣にいる良い意味での緊張感、 そして必ず最後までやりたいとの思いから、私の学習意欲は燃え上がりました。 Kさんとはこの10月一緒に進級して、今も隣同士の席に座っています。 相変わらずペアワークは私とKさんの組み合わせ。 最近では少しずつ、「あ、その訳良いね」と言って貰えるようにもなりました。 私が彼女の訳に偉そうにコメントすることはできませんが(笑) どこまで一緒に勉強できるかは分からないけど、 いつか一緒にお仕事できるのを密かに楽しみにしてます^^
by smile_6022
| 2007-12-07 21:04
| 通訳訓練
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